下呂温泉に伝わる伝説。
昔々、とある山あいにある村の話。
その村には益田川と竹原川という二つの川がぶつかるとても深い淵(水深の深い場所)があり、その淵には龍神様が棲んでおり、中にある横穴は竜宮城へと続いているという言い伝えがあったそうな。
その村は食うものも乏しい、とても貧乏な村でした。
ある時、その村人の息子が嫁をもらう事になりました。
しかしその家には結婚式につかうお椀もお膳も無く、息子が嫁をもらうのに恥をかかせてはいけないと不憫に思った父親は悩みました。
近所もまた貧しい家ばかりで、どこもお椀もお膳も持っていない。
困り果てた父親は龍神様が棲んでいると言われる淵に行き、
『龍神様、おらの息子が嫁さんもらうんやけども、祝いに使うお椀とお膳がうちには無いんです。どうにかなりませんか?お願いします。。。』
と龍神様に願いを伝えたそうな。
その次の日、父親は何のけなしに昨日行った淵に目をやると、なんとそこには立派なお椀とお膳がおいてあったそうな。
父親はたいそう喜び、そのお椀とお膳を持ち帰り息子の結婚式を済ませることが出来ました。
そしてお椀とお膳を綺麗に洗い、淵に行き
『龍神様のおかげで息子の結婚式をすることが出来した。本当にありがとうございます!』
と、そのお椀にお供え物をし淵に返したのでした。
それからその淵は『椀貸せ淵』と言われるようになり、村人達は祝い事がある度に淵に行き、龍神様にお祈りをしてお椀とお膳を借り、綺麗に洗いお供え物をして感謝の気持ちを伝え返す、というのがしきたりとなっていました。
ところがある日の事。
ある村人が椀貸せ淵で借りたお椀を割ってしまいました。
祟りを恐れたその村人は黙って割れたお椀を椀貸せ淵に返しに行ったのです。
それからはいくらお願いをしても二度と椀を借りれなくなりました。
それどころかある夜雷鳴轟くや突如一頭の龍が現れました。
その龍は『椀返せ、椀返せ』と村を荒らし始めたのです。
困った村人たちは寄り集まり相談をし、古いお椀やお膳を淵に奉納し、太鼓を鳴らし龍神様を鎮める祭りをしたそうな。
これが下呂温泉に伝わる言い伝えで、毎年8月1日に行われる龍神祭りのエピソードになっています。
椀貸せ淵の写真。
椀貸せ淵の場所は国道41号線と257線がぶつかる『帯雲橋』という交差点です!
このお祭りは御神輿を担ぐ時に発する『ワッショイ!』ではなく、龍を担ぐ人たちはお椀を返せの意味で『ワンセ!ワンセ!』と声を出して担ぎます。(中には知らない人もいてワッショイって言う人もいるのが残念。)
結構迫力もあってカッコイイので暇してたら遊びに来てみてください♪
ハイキングでした。
Bandit comes over.